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- 五月人形/豆知識〜端午の節句 その1〜
すこやかな男児の成長を願う親の心。
5月5日は端午の節句。やはり季節の変わり目に行われる厄払いの行事から発展してきました。端午の節句に飾られる菖蒲は身の穢れを払う薬草。軒下にさしたり、菖蒲酒を飲んだりと災厄除けに用いられていました。
やがて武家社会になるとその音は尚武(武を尊ぶ)につながる事から、強く勇ましく育てとばかりに端午の節句は男児の成長を祝う日となっていきました。現代でも武将の兜を飾り、大きな志を持つ男の子に、との願いが息づいています。
鍬形(くわがた)のかたち
鎧兜(よろいかぶと)は、古くから命を守る象徴とされており、端午の節句に男の子の身体を守るものとして飾られるようになりました。
兜の正面を飾る一双の角状の立物を鍬形(くわがた)と呼び、その原形は古代の鍬にあるといわれています。各時代によって鉄鍬形・長鍬形・大鍬形・尾長大鍬形・木葉鍬形・三鍬形などがあり、太くて大きい物から細くて長い物までさまざまです。
弓と太刀(たち)
五月人形に飾られる弓矢は、「破魔」といい魔よけのための大事な道具です。魔よけとしての弓の始まりは、古代中国の伝説にさかのぼります。 日本でも、平安時代からお正月に弓で的を射たり、病人の邪気をはらう儀式に使われていました。
太刀(たち)は、その名の通り太くて反りが大きく、刀よりも短いのが特徴です。刀は戦いの実用具ですが、太刀は主に儀式に使用されるものです。古代から、魔物は光りものを嫌うと考えられており、太刀の刃物は光りものとして護身に使われてきました。弓矢も太刀も、子供を災いから守るための大切な飾りです。
天に登る竜
遠い昔、中国の霊山に「竜門」という滝がありました。その急流の滝を登り切った鯉には霊力が宿り、龍になるといわれていました。
ある時、一匹の鯉が激しく落ちる滝水に逆らいながらも、懸命に滝を登り切り、その時、鯉の体はまぶしい光を放ち輝きながら龍へと変わり、天に昇っていったという言い伝えがあります。中国では、龍は皇帝の象徴であり大変縁起のいい動物です。
この鯉のように、子どもが困難に立ち向かい、逞しく成長していくことを願って、江戸時代頃、武士の子弟の出世を願って家庭の庭先で飾られたのが初めです。そして、明治時代から真鯉(まごい)と緋鯉(ひごい)の対になりました。そして他にも、生まれた子どもを守ってもらうための、天の神様に向けての目印という説もあるそうです。